Blog>Cell Battle — タンパク質カードバトル

Cell Battle — タンパク質カードバトル

122種類のタンパク質で戦うオンライン対戦カードゲームを作った

2026-02-17

子どもが細胞生物学に触れるきっかけになればと思い、タンパク質で戦うオンライン対戦型カードゲームを作りました。

「p53って転写因子なんだ」「アクチンとミオシンってくっつくんだ」——そういう発見が、遊びながら自然に生まれます。すべてのカードの説明文は小学生にもわかるよう書き直してあります。

▶ ブラウザで開いて「共有」→「ホーム画面に追加」でアプリとして遊べます。戦績やコインもそのまま保存されます。

▶︎ cell-battle.vercel.app


Cell Battle スクリーンショット


なぜ作ったか

教科書の中のタンパク質は、名前と機能の羅列になりがちです。でも、カードゲームとして手に取ると「インスリンって結構強いんだ」「コラーゲンはHP高い!」「p53は転写因子なのか」といった発見が自然に生まれる。ゲームとして純粋に楽しみながら、気づいたら122種類のタンパク質を覚えている——それがこのゲームの目指すところです。


ゲームの特徴

122種類のタンパク質カード

シグナル、構造、酵素、受容体、輸送、モーター、免疫など15カテゴリのタンパク質がカードになっています。インスリン、コラーゲン、ヘモグロビンといった実在のタンパク質を使い、エネルギーを消費して攻撃・結合・サポートを駆使しながら相手と戦います。

結合(バインド)システム

このゲームの核となるメカニクスです。ベンチのカードをアクティブカードにドラッグすると結合でき、攻撃力に相乗的なボーナスが加わります。ただし、アクティブが倒されると結合グループ全体が墓地へ。攻めのリスクと守りのバランスが勝負の鍵を握ります。

実際の生物学でもタンパク質同士の結合(タンパク質間相互作用)は細胞機能の根幹です。Gタンパク質のα・β・γサブユニットの結合、Ras→Raf→MEK→ERKのシグナルカスケード、抗体の重鎖と軽鎖の組み合わせ——これらが「結合可能な組み合わせ」としてゲームに反映されています。

5種類のエネルギーシステム

グルコース、ATP、Ca²⁺、電気信号、GTPの5種類。カードのカテゴリごとに必要なエネルギーの種類が異なり、どのエネルギーをどのカードにつけるかという資源管理の要素が戦略に深みを加えます。

サポートカード

酵素カード(黒いカード)はサポートカードとして即時効果を発動できます。ATP合成酵素は毎ターンATP+2、DNAポリメラーゼは3枚ドロー、テロメラーゼは墓地から1枚復活。9種類の効果で戦況をひっくり返せます。


基本ルール

各プレイヤーは100枚以上のデッキから5枚の手札でスタートし、相手のタンパク質を3体倒すと勝利です。

毎ターン、カードを1枚引き、5種類からランダムにエネルギーを1つ獲得。手札からベンチにカードをドラッグで配置し、1ターンに1回だけ攻撃系アクションを実行します。ダメージは「攻撃力 + 結合ボーナス − 相手のシールド」で計算されます。

先攻は分子量(MW)で決まります。軽いタンパク質ほど先に動ける——小さい分子は拡散が速いという生物学的直感とも合致しています。


タンパク質カテゴリ(15種)

カテゴリ代表カード特徴
シグナルインスリン、Ras、Akt細胞間の情報伝達
構造コラーゲン、ケラチン、アクチン体の形を支える
酵素DNAポリメラーゼ、ATP合成酵素サポートカード(即時効果)
受容体EGFR、NMDA受容体シグナルを受け取る
輸送ヘモグロビン、GLUT1物質を運ぶ
モーターミオシン、キネシン、ダイニン動きを生む
シャペロンHSP70、HSP90タンパク質の折りたたみを助ける
転写因子p53、NF-κB、Oct4遺伝子の読み取りを制御
免疫IgG抗体、MHC、補体C3体を守る
成長因子EGF、VEGF、NGF細胞の成長を促す
アポトーシスカスパーゼ-3、Bcl-2細胞の計画的な死
小胞クラスリン、SNARE複合体細胞内輸送
接着E-カドヘリン、インテグリン細胞同士をくっつける
細胞周期サイクリンD1、CDK4細胞分裂を制御
ユビキチンユビキチン、プロテアソーム不要タンパク質の分解

技術スタック

React / Next.jsで構築し、PWA対応でオフラインでも動作します。オンライン対戦はshared storageを介したポーリング方式で実装。ドラッグ&ドロップ操作、22種類のタンパク質形状SVGイラスト、水彩画風のアースカラーパレットで、子どもにも親しみやすいデザインにしました。


Cell Battle ゲームプレイ


遊び方

ゲーム内の音楽は;tsuba.timesのmusicページから聴くことができます.

操作方法やカードの詳細は GitHub で公開しています。

▶︎ GitHub リポジトリ

▶︎ cell-battle.vercel.app

photo: Cell Battle • Tsubasa Sato • 2026